壊音 KAI‐ON

2004年11月30日 読書
ISBN:416758901X 文庫 篠原 一 文芸春秋 1998/01 ¥400
 
一言で表すと「非常によくできた村上龍の同人誌」。

これは決してパクりとかいう話ではなくて、ずっと五十三軍曹が「もう一度『限りなく透明に近いブルー』や『コインロッカーベイビーズ』の頃の文章読みたいなぁ。村上龍はもう1回ああいうの書いてくれないかしら」と願っていたところに、「ホラヨ|つ□ |彡サッ」と篠原一が差し出してくれたのです。そういう本なのです。

しかし、同人誌と言うと、元々村上龍の世界があったところに、二次創作で篠原一が書いたような誤解を与えてしまいそうなので、そこのところは否定しておきます。まったく別の世界を描いています。
また、最終的な作品世界が別物で、その世界の形がよく描けているからこそ「この本はパクリではない」と認められ、世に出ることができたのです。

使う素材が非常に似ているための類似、と言うべきでしょう。これ書いたとき、彼女はまだ高校生です。高校生が初期の村上龍に惹かれて、何の不自然なことがありましょう。きっと、そういうものが体にしっとりとなじんで、細胞が浸ってしまう、そういうお年頃なのです。っていうか、自分がそうでした!!(恥ずかしい告白)

なので、「壊音」と村上龍を比較してパクリだどうのこうの言うのは、あらゆる模倣を虎の威をかる狐だと決め付けるようなことです。もしパクりだけで終わる作家だったら、後続する著書の「天国の扉」はダレからパクったっていうんですか。さらに、単なるパクだったとしたら、賞を出しちゃった人たちや、帯書いちゃった教授の立場とかもあるじゃないですか!!

まあアレだ、いくら「いや待て、ここはあからさまにパクりすぎだろ」というところがあったとしても、面白いものを書いたもの勝ちだよな。

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