イスタンブールの毒蛇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ジェイソン・グッドウィン

*素材選びの時点で勝った

世の中には、ネタ選びの時点で勝っているものがある。

最近だと、タイトルだけで話題を攫った這いよれ!ニャル子さんとか。

ジェイソン・グッドウィンのこのシリーズもそんな作品。

主人公は宦官探偵ヤシム。19世紀オスマントルコを舞台にした歴史の香り高いミステリー。

もう、この舞台設定だけで勝ってる。

例えるなら、技術のつたない素人が携帯で撮った写メであろうと絵になってしまう風雅な古都みたいなもので、何をどう切り取っても絶対に人をひきつける力がある、そんな舞台設定。

こう言うと、設定のよさにだけ乗っかってるのかと思われるけど、全然違う。

簡単に言えば、「技術のつたない素人が携帯で撮った写メであろうと絵になってしまう風雅な古都」を作り出すのと、「どんな被写体でもちゃんとプロの写真を撮り上げるカメラマン」どちらを作り上げるほうが難しいか、みたいなもの。

かかるコストを比べれば、カメラマン一人をプロまで育て上げるほうが簡単に決まってる。

勝ちを決めるようなすごい舞台を作るってのは、そういうものだと思う。

 

久しぶりに、手に取っただけで面白いことが確信できる本に当たった。

でも、帯の「快男児ヤシム」は……ない!

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